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ねりもの。
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本文は以下から。

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「…さて。」
ここはとある、どこにでも居そうな普通の大学生の部屋。

そこに、三人の男女…女性は二人だが、
片方は15センチほどの人形サイズ。武装神姫と呼ばれる小さなロボット。
名前はエーリル。セイレーン型エウクランテが彼好みにカスタマイズされており、透き通るような空色の髪の中に鮮やかなワンポイントの青、髪型はポニーテールにしている。

そんな彼女はしきりに、隣の女性とマスターを見比べる。

「やだなーエーリルちゃん!そんなにジロジロ見られたら…お姉さん照れちゃうな♪」

「がーっ!がるるるる…」

「にゃははん。やっぱ怒ってる…でもでも隙を見せるのはよくないとおもうなー?」

一人陽気にトークを繰り広げるもう一人のスーツの女性。
彼女の名はエリカ。
表立って解決することの出来ないような事件などを解決する、いわばヨゴレ仕事を請け負っている。

そんな経歴を微塵も感じさせることなく、エリカはケラケラと陽気に喋る。

「いやね、彼さー、私…すげー好みなんだ。大人しいかと思えば話してみるとめっちゃ楽しいしさ、頭もよく回るし。あとは思いの外スケベだし…そういうこと積極的なのも私としては嬉しいかなーみたいな?キミの子供欲しいっ!って思ってさ、ついさ、ねー?」

「ねー?じゃないです!!私のマスターです!私達夫婦なんですよ?そうやって誘惑して、そ、そういうのって…寝取りって言うんですよ?!子供だって出来たのにっ…。」

「そーねー。でもさぁ、どーかな?大人のおねーさんだよ?おっぱいもちゃんと大きいし、ていうかヤっちゃったし……あ、そだ。ここは一つ一夫多妻とかどーかな?」

「なっ!?なん…?!」
エーリルはひどく動揺し、バランスを崩して倒れそうになる。
そこへすかさずフォローに回り、しっかりとエーリルを抱き止める。

「あ、ありが…と……。」
頬を赤らめ、うつむいてしまう。

「む、むぐ…まるで私が悪者みたい…」
エリカがはじめて動揺し、同時に申し訳ない表情を見せた。

「…ごめん。キミに迷惑かけちゃったよね。私のワガママ、少しでも聞いてくれてありがと。そういうわけだから…」
立ち上がり、ここから去ろうとしたところでエーリルが引き留めた。

「その程度でマスターのこと、好きだって言ったんですか?ただえっちしたかっただけなんじゃないですか?とんだビッチですね…フフッ」
引き留めた、と言うよりはむしろ挑発したと言った方が正しいだろうか。
当然ながら、エリカも黙ってはいない。

「ちっこいのに、よく言うじゃん…??私だってね。彼以外に脱いだりも股開いたりもしたくないよ!キミのことが好きだよ!一目惚れだろうと何だろうといいじゃん!私キミのこと好きだ!キミとなら一緒に居てもいい!居たい!だからお願いエーリル…。私も居させて欲しいよ…。」
初めて見せたエリカの真摯な告白は、エーリルの話していたものとは違い、純粋な好きという気持ちだった。

それを聞き、エーリルは少しの間思案した後、エリカの目をじっと見つめて言った。
「…分かりました。マスターも、人と付き合ったりもするべきだと思いますし…。多少不満ですけど、いいですよ。」

その言葉を聞いた瞬間、エリカの顔がぱあっと笑顔に変わる。

「ほ、ほ、ほんとに…??いいの?私も結婚していいの?」

「けっ…!?……それはともかく、恋人として付き合うことぐらいは許してあげてもいいです。…でも、マスターの一番は私ですからね。あなたは二番目の女です。

「構わないよ!二番でも何でも…好きな人と付き合えるなら…全然かまわないよ…」
エリカの顔が徐々にくしゃくしゃに歪み、目にいっぱいの涙を浮かべた。

それを見たエーリルは困ったような、泣き出した子供をあやすような表情を浮かべ、エリカの頭を優しく撫でた。


数分後。
泣き止んだエリカが真っ赤になった目をこすり、スッと立ち上がった。
「…そんなわけでさ、私も同棲してもいいかな。衣食住はなんとかするし、夜もエーリルを優先したげるし…」

「そういえば…社内で匿って貰っていたんでしたっけ。いいですよ。その方が負担にはならないでしょうし。」

「……や、っったー!!!ありがとうエーリルちゃん!優しい!大好き!!」
喜びのあまりか、エリカはエーリルをぎゅっと抱き締めた。

「ふぎゃぅ!?…でも、私はマスターが好きです。あなたのこと、完全には認めてないですし。」
やや不満そうな視線を向け、エーリルが少し毒づく。しかし舞い上がってしまったエリカには逆効果だった。

「私も私も!いっちばん好き!愛してる!」

「…どっちがどれだけ、マスターのことが好きか競争ですよ。」

「いいよ?大切なのは一緒にいた時間の長さだけじゃないってこと、証明してあげるっ!」

「私とマスターの愛は誰にも負けませんよ?」

「望むところだね!」


かくして、浮気問題は無事に解決したのであった……?
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